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『天冥の標6 宿怨 PART1』は激動の後半へ

      2017/09/16

天冥の標6 宿怨 PART1 / 小川一水 / ハヤカワ文庫JA
天冥の標6 宿怨 PART1 (ハヤカワ文庫JA)

中間点を折り返した第6巻。舞台は2499年、『メニー・メニー・シープ』に最も近い時代となった(それでもまだ300年以上あるけど)。そしてタイトルは宿怨だ。

宿怨
年来のうらみ。
―「広辞苑」

ここまではばらしても許されるかな。宿怨とは、救世群が非染者に対して抱き続ける恨みつらみだ。本巻ではその怨念が形をもって動き出す。その対極となる少女と少年との出会いを絡ませて。

ここに至って物語はググッと動きを加速し始めた。これまでちりばめられていた断片の隙間に充填剤が埋め込まれていく。もちろんただ埋められていくのではない。そこからより深いな世界が姿を現してくる。もうたまらん。

これまでの各巻は単独でも楽しめると評されてきたが、ここまで来ると前の5巻を読んでいないで楽しむのはちょっとつらい。メニー・メニー・シープの後ろ姿が見えてきたし、「あれがこれか!」てな箇所がたんと盛り込まれている。前5巻の濃密な物語があってこその第6巻。それでもまだ全体像は雲に隠れているんだけどね。

さて、天冥も残すところあと4巻となった。予想するに、第10巻はメニー・メニー・シープの続編、大団円に充てられるだろう。すると残り7、8、9の3巻で全貌がつまびらかにされていくことになる。もちろん物語の中身は作者にお任せするしかない。度肝を抜かれる展開が待ち受けていると確信している。

1000年間にもおよぼうかという超大河SF天冥、いまさら思うに『ローマ帝国衰亡史』1350年間を彷彿とさせる。全巻出揃ったら、年代順に読みなおすのが今から楽しみ。再来年くらいだろうか。

 - 小説, 読書