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『挑む力 世界一を獲った富士通の流儀』は突き進む

      2017/09/16

挑む力 世界一を獲った富士通の流儀 / 片瀬京子、田島篤 / 日経BP社
挑む力 世界一を獲った富士通の流儀

レビュープラスさんより頂戴しました。いつもありがとうございます。

で、手元に本が届いてはたと、富士通さんのことほとんど知らないことに気づいた。
富士通、もちろん国内もとい世界最大手のICT企業で、パソコンや携帯なんかも製造しているくらいは知っているけど、これまでなぜかほとんど接点がなかったんですね。個人的には昔々OASYS(!)を愛用させていただいたことくらい。そんな富士通門外漢がさっそく拝読させていただいた。

本書は富士通版プロジェクトXといった内容で、挑戦し成し遂げるためのキモを、「リーダー」にフォーカスし臨場感持ってを突きつける一冊。なので本来リーダー論として読むべきなのでしょうが、上の書き出しのようなわけで、ここでは富士通さんの魅力を感じ取ることを最優先しちゃいます(リーダー論は他にも多数あるでしょうし、ぼくにとってはあまり食指の動くテーマでもないので)。

紹介されているエピソードは8つのプロジェクトにわたります。

  1. 絶対にNo.1を目指す ( スーパーコンピューター「京」)
  2. 覚悟を決めて立ち向かう (株式売買システム「アローヘッド」)
  3. 妄想を構想に変える (すばる望遠鏡/アルマ望遠鏡)
  4. 誰よりも速く (復興支援)
  5. 人を幸せにするものをつくる (「らくらくホン」シリーズ)
  6. 泥にまみれる (農業クラウド)
  7. 仲間の強みを活かす (次世代電子カルテ)
  8. 世界を変える志を持つ (ブラジル/手のひら静脈認証)

こうやって天文学から医療、農業はたまた証券取引まで様々なプロジェクトを手がけているところを見せられると、やはり富士通さんのこと詳しく知らなかったんだあと。そして、さすが富士通すごいよなあと感慨。仕事に優劣をつけるのはナンセンスですが、壮大な仕事であることは間違いない。紹介されている方々は自分に当てられたこと、いやそれ以上の仕事を精力的にやり遂げていく。それらは企業人として当然知っておくこと、身につけておくこと、経験しておくことではある。とは言えその気概を常に保ち続けるのはまた別の話で、難しいものだ。ぼくのようなあかんたれにはちょっと息苦しくさえあったことも白状しちゃう。

登場する方たちのディテールに好感をもったところも多々あった。その中でも共感したのは言葉に対する感性。言葉でごまかさない、思考停止に陥らない発言が気持ち良かった。ぼくが気に入った言葉を拾ってみる。

川井は学生の頃、“ソリューション”という言葉が大嫌いだった。
「実体のない流行り言葉だと感じていました。一言でソリューションというのは簡単なんですけど、その背景に何があるんだろうと感じていました。……」

山岡が続けて解説する。
「仮想化とかクラウドとかいう言葉は、どうしても一人歩きしがちです。でも実際には、そういった技術は手段であって、それをやることそのものがもくてきじゃないんです。……」

西口はその「グローバル」という言葉の使われ方に疑問を覚えている。
「最近は、会話をしていて、よくわからなくなってくるとこの言葉が出てくるような印象があります。私もブラジルと韓国しか知りませんし、グローバルとはどういうものなのか、きちんとはわかっていません」

こういった曖昧模糊とした言葉を安易に掲げるのを良しとしない姿勢に拍手なのである。

富士通さんの流儀、伝統を見せつけられた一冊。これを読んで元気づけられたならば、あとはやるかやらないかにかかっている。
「ともかくやってみろ」

 - 社会, 読書