言葉を正確に記述する 『小説の解剖学』
2017/09/16
先月、応募原稿を書き上げ送った。原稿を書いていると、小説を書く力が足りないなあと思い知らされるわけで、そんな力をを少しでもつけようと指南書を読んでみた。この手の小説作法、書き方本はこれまでにも何冊か読んではいるのだが、何か新しいヒントが得られればとついつい新しいものに手を出してしまう。今回読んだのは『小説の解剖学/中条省平/ちくま文庫』。
さて、どうすればよい小説が書けるのか。最も強く認識すべきことは、言葉を正確に記述することだ。正確さということに対して恥じるところがないか、リアルだと思っていないことをいい加減に書いてしまっていないか。常に自己を点検しなければないらない。
その具体的な取っ掛かりとして、
- 曖昧表現は絶対にしない:「だいたい」「おおよそ」「だったかもしれない」は禁句。
- 副詞的な表現は徹底的に削る:「いったい」「まるで」「何か」「決まって」「実に」「あまり」「何も」「ゆっくり」「しばらく」「しだいに」「いつもより」「たぶん」「もう」「やがて」「まるで」「みるみる」はごまかしの表現。
- 片仮名書きで心理描写をしない:「カチンときた」「ホッとした」は下卑。
ことを肝に銘じよう。
本書ではこれ以外にも、
- 引用は自己完結しない:独りよがりの引用は読者の想像を拡げない。
- 月並みな表現をひねって新たなイメージを作る
- 誇張法の使用に注意:誇張法は、ユーモアの効果をもって使わないといけないが、ユーモアが目立ってもいけない。
- ユーモアは難しい:ユーモアはバランス感覚のある人にしか書けない。自身がなければユーモアを無理やり出さないほうがよい。
- 意味のない一行空けをしない
- 改行のあとは、頭を一字下げにする(←基本!)
- 「…のように」はここぞというときにしか出さない
- 一つのアイデアだけでは物語は成立しない:多くのパターンの決定をメインアイデアに向けて収斂させる。
など、改めて気づかされることも多かった。
最後に。まとめただけじゃだめ。実行しなけりゃ意味がない。