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みんなちょっとずつ秘密をもってるのよ 『白夜に惑う夏』

      2017/09/16

『白夜に惑う夏/アン・クリーヴス(玉木亨訳)/創元推理文庫』は、2008年の作品とは思えない古色蒼然とした英国ミステリ。オールドミステリの復刊か?と錯覚しちゃうよ。50年前の作品と言われても違和感はない。

 

白夜に惑う夏 (創元推理文庫)

白夜に惑う夏 (創元推理文庫)

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アン・クリーヴス
東京創元社
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事件の舞台はスコットランドの北東に浮かぶシェトランド島の小さな集落ビディスタ。ある日海岸の小屋で身元不明の男の首吊り死体が発見される。他殺と判定されたこの事件を解決すべく、地元警察のペレス警部が捜査を開始する。そして第二の事件。

捜査は、そしてストーリーはたんたんと進む。本当にたんたんと。手に汗握る場面は、ない。ハラハラ、ドキドキも、ない。ペレス警部による地元住民への聞き込み捜査というおしゃべりが繰り返される。住民すべてが幼い頃から付き合いを持つ小さな社会で、みんなお互いを知り尽くしている。しかしちょっとずつ秘密を抱えている。自分だけの秘密を持たなければ生きていけない。そんな秘密をペレスは解き明かそうとする。そしてたどり着いた結末は……。

ミステリ本の紹介で言ってはいけないのかもしれないけれど、「え、それだけ?」とポカーンとしてしまったとだけ打ち明けよう。2時間サスペンスばりの結末には肩透かしをくらった。ストーリーの途中でばらまいてあった謎のほとんどが、それは大したことじゃないんだ、と片付けられる。そんなことでいいのか。このような意外性のなさが、本書を「古色蒼然」と感じさせた原因だ。翻訳の雰囲気や言葉も、どうも昔を感じさせるのだが(「調理用こんろ」とか「安楽椅子」とか)、これは原書がそうなのだろうか。

前作『大鴉の啼く冬』(未読)がCWA最優秀長篇賞を受賞したとのことだが、この手の評判をあてにしてはいけないということだろう。せっかく献本いただいたのに厳しくて御免、です。

(本書は「本が好き!」を通じて東京創元社さんより献本いただきました)

 - 小説, 読書