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『経営予測エイジ 2009年9月号 Vol.37 No.9』

      2022/03/27

経営予測エイジ 2009年9月号 Vol.37 No.9業界紙、専門誌などおよそ100の媒体から抽出した選りすぐりの記事が読める『経営予測エイジ/予測エイジ社』。掲載されている50を超える情報を十二分に活用するにはかなりの力量が要求されそうだが、世の中の経営・経済トレンドをざっと眺めるのには都合が良い。

さて、鳩山首相がとうとう国連でCO2の25%削減を表明してしまった。これに対して当然ながら賛否両論が渦巻いている。25%という数字がどうのこうのと言う前に、「環境問題に関して日本がイニシアチブを取るべきだ」という論調自体が私にはよく理解できない。環境問題のイニシアチブと国益とが私の頭の中ですんなりつながらないからだ。また、CO2削減を環境問題として扱えば愚かなことだと思うが(50年後、あの頃の人類はバカだったよねってことにならないかな)、エネルギー問題として長期的に見れば、石油エネルギーへの依存度つまりは中東依存を減少するという意味で有益だとも思える。この先どうなることやら。

ということで、ここでは『経営予測エイジ9月号』の中から気になったCO2削減に関連する記事をピックアップしてみたい。

まずはEVに関する二つの記事。
「電気自動車戦争が始まる 戦略性が問われるEVビジネス」(アジア・マーケットレヴュー)
「米政府から1500億円の融資 ゴーン日産「日米で電気自動車」の勝算」(テーミス)
二つの記事を読み比べてみると、前者がEVの将来性を予感しているのに対し、後者はかなり懐疑的だ。EVの課題は、バッテリーの廉価化と充電インフラの充実で、テーミスは両課題のハードルはかなり高いと見ている。現在、バッテリー(リチウムイオン二次電池)の価格はi-MiEVで250から300万円らしいが、コストダウンなどの研究開発が着々と進められている(例えばカソードのLiCoO2のコバルト代替として鉄、マンガンを用いるなど)。一方アジア・マーケットレヴューはBYDを引き合いに出し、欧米自動車メーカーと中韓電池メーカーとの連携を予想している。携帯電話用Li電池のシェアはBYDが圧倒的だそうで、いつの間にか日本が置いてけぼりをくらわないとも限らない状況だ。またインフラの立ち遅れにしても、インターネットだって携帯電話のアンテナだってコンビニだって、あっという間に充実したわけで、動き出せば瞬く間に整備されるのではないか。EVの時代はそう遠くないのかもしれない。

もう一つは、宇宙太陽光発電所SPSについて書かれた短文。
「宇宙太陽光発電の今後の展望」(経済Trend)
SPSは、巨大な太陽電池パネル発電衛星を静止衛星軌道上に設置して、マイクロ波無線で地上に送電しようという壮大な技術。盛んに研究が進められ、2012年には神戸大を中心とした共同開発チームがSPS衛星を打ち上げる計画までしており、ほんの少し現実味を帯びてきているよう。安定したクリーンな電気エネルギー得られるとのことだが、まだまだSFのように感じられる。これが実現する日は来るのだろうか。軌道上に設置された巨大パネルまではなんとかイメージできるけれど、100万kWを超えるマイクロ波が地上に照射される様子が皆目想像つかない。発電所というよりは兵器だね。

これらの他にも様々な記事がコンパクトに編集されている。普段まず目にすることのない業界紙からも記事が取り上げられているので思わぬネタに出会えることも楽しい。「なぜスカイマークだけが独立性を保てるのか」(航空情報)もそういった意味で興味深かった。

(本誌はレビュープラスさんより献本いただきました)

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