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ギャングの日常は、どう見たって非日常 『陽気なギャングの日常と襲撃』

      2017/09/16

ようやく読みました、『陽気なギャングの日常と襲撃/伊坂幸太郎/祥伝社文庫』。新書で読めばいいのに、わざわざ文庫化を待っていたのですね。『重力ピエロ』『オーデュボンの祈り』『陽気なギャングが地球を回す』と続けざまに文庫で読んだので、以来「伊坂は文庫で読む」って気分になっちゃってるので。

本書は、そのタイトルが示すとおり、名作『陽気なギャングが地球を回す』の続編です。前作で大活躍したあの4人組(嘘はすべて見破る成瀬、演説させたら止まらない響野、正確無比の人間ストップウォッチ雪子、そして驚異の天才スリ久遠)がそれぞれの能力と軽妙なおしゃべりをフルに発揮して楽しませてくれるのですよ。加えてガジェットおたく田中ね。伊坂ワールドを存分に満喫できる一冊です。

前半は、同時期の4人それぞれの日常を描いた短編が並べられています。日常といったって、けったいな事件に首を突っ込む、どう見たって非日常なんですけどね。4話終ったところで四つの短編を重ねて上から覗くと鮮やかに一つの物語が浮かび上がってくる。素晴らしい!まさに伊坂の本領発揮といったところですね。もちろんこの前半に散りばめられた伏線は後半にも引き継がれていきます。

後半、4人は誘拐された人質救出に立ち上がるのですが……。後は読んでのお楽しみ、読者もきっちり騙されることでしょう。騙されるのが楽しみですもんね。最後の落ち、ちゃーんと前半で用意されています。その辺、あれこれ注意しながら読み進めるのも一興かもしれません。

続編が出ると、1、2作を比較したくなります。前作は4人組初登場ということで新鮮な驚きがあった一方、本作は彼らとの親密感が心地よかったと思います。また、前作はピカレスク色が濃かったですが、今回は人助けに奔走する「いい人」っぽさが前面に出ているような。第3作はあるのかな?

『地球を回す』のときも書いたけれど、この2作は伊坂作品の中でとりわけ好きな作品です。致命的な悪、理解不能な悪が登場しないから。私たちには非日常となるギャングたちの日常を安心して楽しんでください。

陽気なギャングの日常と襲撃/伊坂幸太郎/祥伝社文庫
陽気なギャングの日常と襲撃 (祥伝社文庫)

 - 小説, 読書