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新年からHAPPYな日本画 『ゆかいな若冲・めでたい大観』@山種美術館

      2016/05/21

今年はじっくり日本美術を鑑賞するのもいいかしらん、て気持ちが散ってしまわぬうちに、行ってきました山種美術館。今年最初の展覧会「ゆかいな若冲・めでたい大観」です。

ゆかいな若冲

「HAPPY」を切り口に、二つのパートで構成。一つ目は、松竹梅、鶴亀、七福神などめでたいモチーフを扱った吉祥画、二つ目が笑いを誘うユーモラスな画です。江戸時代から平成の現代まで、幸せを願う日本画が集います。
こういう展覧会、よいですね。深刻ぶったり肩肘張ったりする必要がない。スッとした清涼感とともに、ほんわか感が伝わってくる。それぞれ幸せを願って描かれた画ですから、当然かもしれません。でも、文化と言ってしまえばそれまでなのですが、松竹梅や鶴亀を見てそう感じるのは不思議なものです。中でも、これまで特にありがたさを覚えなかった七福神に妙に惹かれました。七福神っていいね、ってところです。狩野常信「七福神図」や狩野一信「布袋唐子図」など、子供と戯れる様なんぞは微笑ましいったらありゃしない。なんともほっこりする。

で、堪能した約70点の展示作品のなかで、とりわけ気に入ったのはこれです。

ゆかいな若冲 伊藤若冲「布袋図」
けっこう大きな画で、グゥイっと一気に書き上げたような大胆で福々しい布袋様。会場で対峙したとたんウヒャヒャってなりましたよ。見ていて気分よくなりません?チャームポイントはなんといってもこの目。たまらりません。藤子不二雄Aの画に出てきそうですね。

さて、素人のぼくが見渡して、大家の画が並ぶ中、伊藤若冲は圧倒的に上手い。展示の順路をたどり若冲の画に近づいてくるとオーラを感じます。前で立ち止まり、身を乗り出し凝視してしまう。躍動感というか、動いているように見えるのです。若冲は、たとえば鶏を描くとき、1年も2年も見続けて一筆も執らず、「神気」が見えて初めて描き出したそうで、描いているその時にも、頭の中で対象は動いていたのかもしれません。さらに彼の自信のようなものが伝わってくる。
ちなみに、展覧会のタイトルに名を連ねる大観は下手だなあと思いました。例えば「松」という作品を見ても、松の配置はしっくりこないし、一本々々も雑です。海も砂浜もなんだかなあです。何を偉そうにと叱られそうですが、そう見えるのだから仕方がない。

蛇足でした。言いたかったのは、やはり若冲凄し、ということです。

こうなると、東京都美術館の「生誕300年記念 若冲展」も必見、楽しみなのであります。

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