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『南方熊楠生誕150周年記念企画展』@国立科学博物館を観てきたよ

   

国立科学博物館で開催されている『南方熊楠生誕150周年記念企画展 南方熊楠-100年早かった智の人』を観てきた。『古代アンデス文明展』に行ったらこっちにも足を運ばない手はない。

南方熊楠生誕150周年記念企画展入口

展覧会概要は科博サイトから抜粋。

南方熊楠は、森羅万象を探求した「研究者」とされてきましたが、近年の研究では、むしろ広く資料を収集し、蓄積して提供しようとした「情報提供者」として評価されるようになってきました。本展覧会では、熊楠の活動のキーアイテムである日記・書簡・抜書(さまざまな文献からの筆写ノート)・菌類図譜を展示。“熊楠の頭の中をのぞく旅”に誘います。

南方熊楠のことは博学な人で、中でも粘菌の研究者だよね、くらいに思っていた。ところが今回の展示品を観て、そんな予断がぶっ飛んだ。尋常ではない。博覧強記を通り越して狂気のような人だった。

たとえば抜書。古今東西の書物を書き写したもので、ロンドン時代に大英博物館の稀覯書物を写した「ロンドン抜書」、帰国後の「田辺抜書」がある。これ見たらもう絶句である。帳面がびっしりと小さな文字で埋め尽くされている。一行ごとに書くための罫に二行書く。余白も埋める。それも毛筆で。そんな帳面が「ロンドン抜書」52冊、「田辺抜書」62冊もあるというのだ。この抜書、子供のころからすでに『和漢三才図会』全105巻を筆写している。手に入る知識はすべて自分の中に取り込まなければ気が済まないのである。

南方熊楠田辺抜書

たとえばNatureへの投稿論文。これが51報もある。今の時代、一つ載れば御の字なのに51である。
それらの中にある「マンドレイク」とは、根が人型に似ていて、引き抜くと悲鳴を上げて、まともに聞いた人間は発狂して死んでしまうという植物。「オロコマ」はググってもわからない。なんや奇怪なものについて書いてたんやね。

南方熊楠Natureへの投稿論文

たとえば雑誌への寄稿には「睡眠中に霊魂抜出づとの迷信」「東洋に於けるキスの研究」なんてのもある。まいった。

南方熊楠東洋に於けるキスの研究

見進めながら、熊楠は学者や研究者とは違うなと感じていたら、最後にこんなまとめパネルがあった。

南方熊楠Kumagle

熊楠の取り組みには、次のような特徴があります。
1. とにかくたくさん材料(智)を集めること。
2. それぞれの材料をデータ化して扱う。
3. 必要に応じてそのデータを自在に取り出し、処理して提供する。

なるほど熊楠は情報提供者なのだ。編集者かもしれない。博覧強記、尋常非ざる編集者。圧倒されつつ、そんな解釈に落ち着いた展覧会だった。

15時頃入館、16時頃退館、およそ1時間の鑑賞。開催は2018年3月4日(日)まで。

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