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微妙な嘘は、ほとんど誤りに近い 『死神の精度』

      2022/03/27

文庫で追いかけている伊坂作品、『死神の精度/伊坂幸太郎/文春文庫』が文庫化され、待ってましたとばかりに跳びついた。

死神が語り手となって繰り広げられる6つの短編連作。期待に胸膨らませて読み始めてみると……、あれっ、なんだか、ちょっと……。

死神の精度 (文春文庫)

死神の精度 (文春文庫)

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伊坂 幸太郎
文藝春秋
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これまで読んだ伊坂作品には驚かされ続けてきた。不思議な世界にぐいぐい引き込まれ、「ウォー、参りました」とうなり声を上げてきた。

そして本作、期待が大きかっただけに拍子抜けしてしまった。死神の調査員という不可思議な設定を敷いていながら、話は小ぢんまりとしている。正直、途中で放り出しそうになったのだが、病院の待合室で過ごす時間になんとか最後までたどり着いた。最後に収められている「死神対老女」に至って、ようやく伊坂らしい仕掛けが登場し、不満を解消することができた。

さすがに伊坂幸太郎とは言え、毎打席場外ホームランをかっ飛ばすのは大変だよな。今回はライト前ヒットというところか。次作に期待。

 - 小説, 読書